ダサカレ─ダサイ彼氏ハ好キデスカ?

『えっ?』


「中村が前にそんな事言ってたの思い出した。」


『柚樹が、か……』


私は柚樹より仁の言葉が訊きたかった。
仁はどう思ってるの?そんなふうに聞けたなら、今頃ため息なんて吐いてないよね……。


「痛むか?」


『ううん』


そこにタイミングよく戻って来た柚樹と、後ろでメガネを直しながら入ってきた浦田先生と目があった。


「呼びに行ったら会議中で、待ってたら遅くなっちゃって…」


私を見つけて安堵の表情をする柚樹は、今何を考えているんだろう?


「で、誰がケガ人?」


『あ、一応私です。忙しいのにすみません』


笑顔で私を見る先生は、椅子ごと私の前にくると、傷口を眺めまた笑った。


「君は不運なのか幸運なのか…かすり傷ですんでよかったね?」


そう話す浦田先生とは、何度かすれ違った事があるけど、話すのは今日が初めてだった。


「ちょっと痛むけど、我慢出来るよね?」


『はい』


その言葉通り、消毒液が傷口に染みた。


「よし。終わったけどどうする?一応絆創膏とか貼っとく?」


『あ……』