ダサカレ─ダサイ彼氏ハ好キデスカ?

『う、うん…』


あまりにも真剣な柚樹に、引くに引けなくなり頷いてしまった。
 見えない傷より、柚樹の後ろでボールを蹴った仁の方が気になるけど……。


「ちゃんと待っててくださいよ?!」


私が逃げ出す前提で話す柚樹に苦笑いを返したのが、3分くらい前だったか、残された仁と二人、黙って柚樹がくるのを待っていた。


『……サッカー好き?』


その沈黙に耐えられなかったのは、私の方だった。


「なんで?」


『さっき蹴る所見えたから…みんな驚いてたよ?』


「中学でやってたから。今は興味ないけど、目立ちたくないし」


『そっか』


それで会話が途切れた。
もっと聞きたいことがあったハズなのに、なんでこういう時に限って何も浮かばないんだろう?


『ごめんね?迷惑かけて。楽しい気分が台無しだよね?』


「楽しいも何も、まだ何一つしてねぇから。そんな顔してっとまた中村に心配されるぞ?」


『アハハ…』


苦笑すると、思い出したように言った。


「お前見てると、ほっとけないんだって。」