ダサカレ─ダサイ彼氏ハ好キデスカ?

 開いてる門から学校に入ると、そのまま桜木の下に向かった。
 遠くに小さな人影が見えた頃、仁にイヤホンを取られた。


『おっ…!』


「ん?」


『いや、いきなり外すから…びっくりした』


「あぁ…悪い」


イヤホンを巻きつけポケットにしまうと、サッカー部の練習の邪魔にならないよう、端を歩いた。


「おはようごさいます!」


可愛い笑顔を向け挨拶をする柚樹に、同じく挨拶をした。


『待ったでしょ?』


「んー…少し」


そう笑う柚樹に色々申し訳なく思った。
 暫く桜を眺めたあと、仁が口を開いた。


「じゃあ、行くか?」


コクリと頷く私の隣で、柚樹が「ここじゃないんだ」と呟いた。
 また一歩先を行く仁の後を追いかけてると、名前をよばれた。


「葉瑠」


『ん?』


「緒方さんが持ってるのって、お弁当?」


『うん、着いたら食べようね?』


「うん。…緒方さんって料理するんだ」


『えっ…?』


「えっ?」


柚樹と目が合い、本気で言ってるんだと知った瞬間、あまりにカワイすぎて笑ってしまった。


『アハハッ!!』


キョトンとする柚樹に、私が作った事を教えると、顔を赤くし何度も謝ってきた。