ダサカレ─ダサイ彼氏ハ好キデスカ?

「ん、じゃあ校庭の桜の下で…」


『あ、柚樹か……。』


「ん、じゃあ後で」


 電話を切った仁が大きく息を吐くと、歩幅を私に合わせた。


「あいつ、早く着きすぎたから校庭で待ってるって」


独り言にも取れる言葉に黙って頷いた。


「あと、花見の場所だけど」


『うん?』


「学校じゃねぇから。」


『え、違うの?!』


「あんま教えたくないんだけど……」


『あ、特別って奴ですか!?』


おちゃらけて言ったら、笑いもせず「まあ…」と言った。


『どんな場所なんだろう?』


それを想像しながら、反対では別の事を考えていた。恋ってもっと楽しいものだと思ってた…。
 自分だけが仁の特別であればいいのに。


『ハァー』


ため息を吐くと、心配そうに覗き込む仁に「大丈夫か?」と声をかけられた。


『うん、多分』


少なくとも、いまだけは特別でいたい……