ダサカレ─ダサイ彼氏ハ好キデスカ?

「学校は楽しい?」


そう母に聞かれ、黙って頷いた。


「友達は出来たか?!」


今度はお父さんに聞かれ『まあ…』とテレビに目を向けたまま返事をした。その時2人から安堵のため息と、小さな笑い声が聞こえた。
まるで“よかった”と言い合ってるようなそんなため息だった──


 テレビを見る振りをしながら、チラッと二人を覗き見た。
お父さん、見ない間にちょっと老けた?よく見れば、お母さんの顔にも昔はなかったシワが……
 その時、どれほど二人の顔を見ていなかったんだろう?と思った。
毎日顔を合わせてるおばあちゃんの方がイキイキして見える。


「プッ…ハッハッハッ!!」


静かな食卓に突然響いた笑い声に、みんなが振り返った。豪快に笑うおじいちゃんは、テレビに釘付けだった。
茶碗とお箸を持ったまま笑うおじいちゃんに、お父さんが一番驚いていた。その隣で平然とご飯を食べるお母さんは、さすがとしか言いようがない。


 おじいちゃんは、私が食べ終わってもずっと笑ってた。
ごちそうさまをすると、一人部屋に戻った。
 『ふぅー…』と息を吐き、真っ暗な部屋の中を手探りで机に向うと、スタンドのスイッチを点け、やりかけの問題を黙々と解いた。