ダサカレ─ダサイ彼氏ハ好キデスカ?

『ハァー…』


カバンを机に置きベッドに腰掛けた。
 少しの期待と反抗心をドキドキでかき消し、ケータイを取り出すとゆっくり開いた。


『…来るわけないか。』


そう分かってはいても、ディスプレイの中に仁の名前を探してしまう。
ケータイを閉じスウェットに着替えると、そのまま机に向かった。
予定通り数週間後に出す課題を片づけるために。少し時間をロスしたけど、夕飯までには半分終わらせたいな…
 黙々とペンを走らせ、着々とページを減らしていった。窓の外が暗くなったことにも気づかず、スタンドのライトに照らされた問題と格闘してた。


~♪~
突然部屋に響くメロディーに顔を上げると、大きな古時計が流れていた。 時計を見ると7時を回った所だった。
シャーペンを机に置き、変わりに受話器を取った。


『はい』


「ごはんだよ」


『わかった。』


短い返事を返し内線を切った。机に乗った半分以下の課題を見て、ため息と共にスタンドを消した。
 ──何日振りかに家族が揃った食卓は、案の定静かだった。唯一テレビから聞こえる声だけが、食卓を明るくしてた。