ダサカレ─ダサイ彼氏ハ好キデスカ?

「中村誘って花見とかしようかなぁって…」


『お花見?』


「ぃ嫌なら別に、無理に誘う気もないし。ただ暇ならって…」


どもりながら喋る仁を見て、嘘じゃないと分かると自然と笑顔になった。そうなったら返事は一つしかない!


『私が断るわけないじゃん。ていうか、来るなって言われても行くし!』


それを聞いてホッとしたのか、仁は私に笑顔をくれた。それは今までに見たことのない優しい笑顔だった。


『何日にするか決まってるの?』


「一応。コイツが散る前にしたいなって」


桜を見上げ、幹に手を当てる仁。


『もうすぐ葉桜になっちゃうのか…』


「また、季節が変わるな……」


しんみりしてると、後ろの方から足音と共に名前を呼ぶ声がし、振り向くと柚樹が笑顔で手を振ってた。
 その時、ごく自然に仁と顔を見合わせ笑った。


「2人とも、ここにいたんですね!?」


乱れた息を整え「なにしてたんですか!?」と訊ねてくる柚樹が、子犬がシッポ振って遊ぼう?とじゃれついてくる姿に見えて、思わず笑ってしまった。


「僕、なにかしました?」