ダサカレ─ダサイ彼氏ハ好キデスカ?

「なあ…!」


突然の声に心臓が大きく脈打った。
なんだか最近驚いてばっかりいる気がする…仁の言葉になにも返さずにいると、再び「なあ!」と今度は少し怒ったような声がした。


『私?』


「お前以外誰がいんだよ。」


辺りを見渡し苦笑すると、近づいた。


『ごめん、なに?』


「……やっぱいいや。」


沈黙のあとに出た言葉がそれだった。そう言われると気になっちゃうのが私、葉瑠の性?


『言いかけて止められるのが、一番気になるんですけど?!』


「……笑うなよ?」


『笑える内容じゃない限り、笑わないから大丈夫。』


「絶対笑うなよ?!」


 何を言うのかドキドキしながら待ってると、「あのさ…」と真剣な顔に変わった。


『はい』


「春休み暇なら、どっか行かねぇ?」


『えっ…?』


ちゃんと聞こえたはずなのに、一瞬にして頭が真っ白になった。
寸の間沈黙が続き、仁が俯いた。