「本当は辛いんでしょ?僕には葉瑠の考えてる事とか、緒方さんと何があったのかとか分からないけど、泣いてるから…」


『だから、泣いてないって!!』


うまく笑って切り抜けるばずだった──急に視界が暗くなり、耳元で柚樹の声が聞こえるまでは…


「葉瑠は嘘が下手すぎる…」


かすれた声で呟くその声は、震えていた。


「平気なフリしないで…」


『ゆず……離して?』


「…あっ!!」


柚樹は勢い良く離れると、両手を挙げて2.3歩後ずさった。


「ごめんなさい! そんなつもりじゃ…」


顔を赤くして慌てる柚樹が可愛くて、小さく笑った。モヤモヤはまだ完全に消えることはないけど、柚樹とならいい友達になれそうな気がした


『ご飯食べよ? 時間無くなっちゃう』


「はい!」


微笑みながら、柚樹と仁の元へ向かった。
 本当は内心ドキドキで、ちゃんと話してくれるか心配だった。「飯食わねえの?」そう言ってくれた仁は何を思って言ったんだろう……