男の子に嫉妬してるなんて、私どんだけ独占欲強いのよ…
涙で視界がぼやけ始めた時、呼び止められた。


「…飯!」


足を止め続きを待った。


「飯食わねえの?」


涙がこぼれないよう空を見上げ、『ハァ。』と短く息を吐いた。


「葉瑠?」


空を見上げたまま何も答えない私に、柚樹が声を掛けながら近寄ってきた。


「葉瑠?…なんで泣いて…」


『っ! 泣いてない泣いてないよ!?』


言葉を遮り、背を向け涙を拭った。


「でも…」


『仁には、言わないでね。』


「………。」


黙る柚樹に向き直り、笑顔を向けた。


『大丈夫だから。行こう?』


「…うん…。」


明るく振る舞う私に、柚樹が目を逸らした。
歩き出す私の後ろを、少し遅れて付いてくる柚樹に、普通に話しかけた。
何も無かったみたいに。


『柚樹はお弁当?』


振り返ると、切ない顔の柚樹と目が合った。


『ゆず?』


「なんで? なんでそんなすぐ大丈夫って笑えるの?」


意外過ぎる言葉だった。