ダサカレ─ダサイ彼氏ハ好キデスカ?

『3.2.1…』


小さな声でカウントすると、寸分の狂いもなく鐘が鳴った。


『よしっ!!』


小さく気合いを入れ教室を出ると、ひたすら階段を下り、靴を履き替え、校庭の隅に咲く桜の木に向かって走った。


『──ハァ…ハァ…』


あれだけ急いでた足がゆっくりになり、やがてピタリと止まった。


『まだ、来てないんだ…』


上がった息を整え、木の根元に座った。


『ふぅー…』


ドキドキしながら、仁が来るのを待った。
 校庭を見渡して、時々空を仰ぐ。落ち着かない気持ちを抑え、さっき自分が来た道の先を目を凝らし見つめた。


『あっ…』


来た。仁の姿を見つけ口元をキッと結んだ。
なんで?仁の隣で笑う柚樹を見て、また胸の奥がざわついた。
柚樹はただのお友達。仁と仲良くなりたい男の子、大丈夫、大丈夫。
そう自分に言い聞かせながら、2人が来るのを待った。


「なにしてんの?」


仁の一言目がそれだった。柚樹は仁の後ろで私に笑いかけた。


『謝ろうと思って』


「あぁ…」


『本当にごめんなさい。…じゃあ』


それだけ伝えると、その場を離れた。