ダサカレ─ダサイ彼氏ハ好キデスカ?

『え?あ、桜が綺麗だなぁって。』


急に恥ずかしくなり、伏せた顔はきっと桜より赤かったと思う。


『…ねえ、いつ見つけたの?』


「桜?」


返事の代わりに頷いた。


「この学校に入学した日。」


『へぇ―…あれ?
もしかして、入学式…』


「校長話し長いから、途中嘘ついて逃げた。」


『あ、やっぱり!』


当たり前のように答える仁がおかしくて、笑ってたらムッとした顔を向けられた。


『そう言えば、教室行かないの?』


「それはお前だろ。」


『…チャイムって』


「さっき。」


『鳴った?』


「はっ?お前聞こえなかったの?」


『嘘。』


「本当。てか、授業始まるぞ?」


急かすように言う仁に、焦りながらも、内心私にとって授業はあまり重要じゃないんだよね。なんて思ってた。
この学校に入ったのだって親に反抗してだし。


『あ、うん。』


私は上の空で返事を返した。


「行かねえの?」


『仁は?』


「いきなり呼び捨てかよ…俺は、パス」


『あれ?、くん付けにした方がよかった?』


立ち上がり、スカートの土埃と一緒に桜の花びらを払った。


「いや、そのままでいい」