ダサカレ─ダサイ彼氏ハ好キデスカ?

桃瀬先生は好きじゃない。数学の授業中は、誰が指名されるか解らない分、みんなこの時間だけは大人しく授業を受ける。


「シッカリ授業を聞いてれば解る問題だからな!!」


『はあ…』


すれ違い様に言われ苦笑した。シッカリ授業を聞いてなくても解ける問題に一瞬戸惑った。
どうしよう…、一問だけ間違った方がいいかな?でも後がめんどくさい…いいや、全部解いちゃえ!!答えを書きながら、半ばヤケクソ状態の私は隣に人がいるのに気づかなかった。
 その人に気づいたのは、最後の問題を解いている時「出来ました。」
どこかで聞いたことがある声だなぁ…と隣を見ると仁と目が合った。


『…あっ…』


直ぐに視界から居なくなり、黒板に顔を戻すと最後の問題を解いて席に戻った。


「おっ!2人ともなかなかやるな、このクラスにも秀才がいたんだな」


失礼な発言に、アハハと笑う先生以外笑ってる生徒は1人もいなかった。 退屈な授業…これを切り抜ければ、お昼!!
自然と時計に目がいき、一秒ずつ刻まれる針を黒板を見る振りで遣り過ごした。