ダサカレ─ダサイ彼氏ハ好キデスカ?

「確かにおとなしいなぁとは思ってたけど、ふざけてんのかと思ってた。」


『ハァー…』


長いため息のあと、仁に目を向けた。


「なに?」


『別に…』


「言いたいことがあんならハッキリ言えよ!」


『……。』


「俺お前になんかした?」


『何も』


「だよな。なんで怒ってんのか全然、理解出来ないんだけど」


『…私も。』


自分でもこの苛立ちの原因が分からない。だから余計に腹が立つ。
このモヤモヤが顔を覗かせたのは、昨日の夕方頃柚樹を含めた3人で居るとき……。
でもその時は、大して気にも止めていなかった。仁の隣に並んで歩けて、教室で堂々と話しかけられる柚樹が羨ましいとは思っていたけど……お母さんの事も、関係してるのかな?


『ハァー…』


「なんか、いつもより暗いな」


『そう?気のせいじゃない?』


膝を抱え組んだ腕に顔を乗せ、素っ気ない返事をした。それから仁が話しかけてくることはなかった。