ダサカレ─ダサイ彼氏ハ好キデスカ?

「よく飽きないで見てられるな?」


『うん、桜好きだから。私のおばあちゃんと同じ名前なの』


「へぇー、綺麗な名前だな」


『ありがとう』


会話が止んで、しばらく2人の間には沈黙が続いた。それが不思議なほど居心地よくて、目を閉じ桜の木に体を預けた。
このまま眠れそう…
 でも実際、半分寝てたと思う。気づいたら、朝と同じでどこか違う景色が目に飛び込んできた。
仁の肩に頭を寄せてたのにも、その時初めて知った。


『……。』


何も言わずに仁から離れると、「もう、授業始まってるぞ。」と声がした。


『…今、何時?』


恐る恐る時間を尋ねると、仁がポケットからケータイを取り出した。


「…10時半」


『嘘っ!やっちゃった~…』


肩を落とす私に、仁が「落ち込む必要なくね?次のに出ればいいわけだし。」と明るく言った。


『そうだけど…起こして欲しかった。』


「寝てるなんて思わないから」


『どこかで気づくじゃん!?』


「どこかって?」


時々仁にワザと?って言いたくなる時がある。


「あぁ、肩にポンって来た時とか?」


黙って頷いた時、頬が少し熱くなった。