ダサカレ─ダサイ彼氏ハ好キデスカ?

前の家から持ってきた家具が、少し窮屈そうに並んでるのを見ながら、ベッドに腰掛けネクタイを外した。
この部屋は元々おばあちゃん達の寝室で、おばあちゃんが腰を痛めてから一階に寝室を移したと、ここに着たとき説明を受けた。


『ハァー…』


仰向けに倒れ、シミのついた天井をボーっと眺めた。
目覚ましの針が動く音だけが静かな部屋に響き、それに誘われるようにだんだんと瞼が重くなり、閉じかた時に“大きな古時計”が鳴り顔を上げた。


『はい』


「そろそろご飯だよ」


『わかった。』


二階に上がれないおばあちゃんの為、親が内線を付けた。だいたいが夕食の時間帯になるが、メロディーは大きな古時計しか設定出来ないらしい。
 制服からラフな格好に着替えると、机に置いた荷物の中から封筒だけを抜き、ベッドの下にしまった。────


『なにか手伝おうか?』


台所でおばあちゃんに話しかけると、お味噌汁をよそいながら「それを向こうに運んでちょうだい」と、キッチンテーブルの上で湯気を立てる肉じゃがを目で示した。
 全ての料理が並ぶころ、大工仕事から戻ったおじいちゃんが上座に腰を下ろした。