結局最後の授業を受け、身が入らないまま放課後を迎えた。
あくびをしながら帰る支度をしてると、誰かに見られてる気がして辺りを見渡すと、教室の入り口付近に柚樹が申し訳なさそうに立ってた。


『あっ…』


柚樹に手招きをすると、キョロキョロと辺りを見ながら、また申し訳なさそうに入ってきた。


『どうしたの？』


近寄ってきた柚樹に訊ねた。


「一緒に帰ろうかと思って…」


『私と？ 仁と？』


その質問に少し困った顔を見せる柚樹は、少し俯き顔を上げた。


「出来れば、三人で…」


『三人…』


「やっぱり無理ですよね。 忘れてください!」


ぎこちない笑顔を向けられ、どうしようか悩んだ結果『聞くだけ、訊いてみる？』事にした。


『一緒に帰ってくれるかは分からないけど…』


「はい!」


その返事を聞き、身仕度を済ませると変に緊張しながら仁の所へ向かった。そんな私の隣では、嬉しそうに笑う柚樹がいた。