ダサカレ─ダサイ彼氏ハ好キデスカ?

深い後悔のため息をつき歩き始めた時だった、暗闇の奥に遊具が見え引き寄せられるまま道路を渡り、公園の前まで来てしまった。
 雪が積もる公園には誰かの作った雪だるまが並び、茶色く濁った地面はぐちゃぐちゃで、とても歩けるような状態じゃなかった。


『ブランコ……懐かしい』


目を細め、グチャグチャな中に足を踏み入れると、学校帰りの道を思い出した。朝氷だった雪が太陽に溶かされ、雪かきのされてない道で滑り思い切り転んだっけ?


『懐かしい』


そんな記憶を思い出しながら、ブランコへ近づいた。


「葉瑠!!」


『まただ……』


誰かに呼ばれてる記憶が蘇ったのかと思ってた。


「ったく、どこいったんだよ……葉瑠!」


『仁……?』


でも、聞き間違いじゃなかった。近くにいる。直感的にそう思った。
 ケータイが鳴り、驚き過ぎて立ち上がっていた。


『どうしよう』


とりあえずケータイを開くと、ボタンを押した。


『……はい』


「今どこ?」


『仁の、近く……』


「はぁ?どこ?」


『……。』


「おい、教えろよ!」


ブランコに座り直し、濡れたつま先を見つめ『嫌だ』と言った。


「どこいんだよ!!」