ダサカレ─ダサイ彼氏ハ好キデスカ?

 あれから更に一週間が過ぎたある日、仁は朝からソワソワしていた。
チラチラと私を見ては、分かりやすく息をつき。何かを言おうとしては閉じ、をずっと繰り返していた。


『仁は冬休みなにするの?』


「別になにも…」


『ふ~ん。綾は旅行に行くんだって。水樹も一緒だったかな?』


「お前は?」


『前言ったじゃん、何も予定はないって』


冬休みの予定を考えると、タメ息が増える。
期待したって、余計に虚しくなるだけだし。
 ──今だけカップルが溢れる廊下を歩き、教室に入ると虚しさが倍増した。


「羨ましい?」


『どうして?』


「羨ましそうな顔してたから」


『かもね…』


そう言いながら、昨日より増えたカップルを横目に見ていた。
 自分の席に座り、真っ白な空を眺めた。
授業中も、休み時間も、お昼時も…トイレに行くとき以外ずっと見ていた────


「なあ、お前ケータイ持ってるよな?」


放課後、人もまばらな教室で突然そんな事を聞いてきた。


『うん』


ポケットに入れたままのケータイを渡した。


「俺に渡されても……メールチェックとかしねえの?」


『んー……期待してもこないし』