ダサカレ─ダサイ彼氏ハ好キデスカ?

 チャイムが鳴り、先生との話はそこまでになった。帰り際、綾にはちゃんと話した方がいいと言われた。


『あとで話してみます。失礼しました』


 教室に向かいながら、綾になんて言おうか考えていた。放課後にでも切り出そう、そう決めて授業を受けた。
 ──その日の放課後、帰ろうとしている綾を捕まえ、保健室へ向かった。


『失礼します。』


先生がまだ残ってるのを確認し、扉を開けた。


「さくら、松本。……出てようか?」


『いえ、先生も居てください』


「分かった。」


椅子に座り直し、私達に背を向けた。


「どうしたの?」


綾をベッドに座らせ、その隣に自分も座った。


『あのね……』


のあとが出なくて沈黙が続いた。──ひと息吐き、綾の目を見た。


『綾に訊きたいことがあるんだけど』


「なに?」


『最近、仁と何かあった?水樹に何か聞いたとか……?』


「何も無いけど、最近葉瑠元気ないし、緒方も葉瑠に対して冷たいから」


『綾……すごい』


「葉瑠を傷つける奴は私が許さない!」


「松本はさくらの彼氏みたいだな」


黙って訊いていた先生が笑った。それを聞いて胸を張り当たり前と言いたげな顔を見て私も笑った。


「あ、笑った!葉瑠~水樹の話ってなあに?」


抱きついてきた綾は、少し低めの声でそう言った。


『それは……』


先生に助けを求めると、苦笑いしていた。


「ちゃんと話せ。」


『はい』


先生に促され、綾を体から引き離すと改めてこうなった事情を説明した。
仁の元カノが来たこと、遠まわしに告白をされふられた事。綾は驚きながら最後まで聞いてくれた。