季節は移ろい、長く寒い冬がきた。
あの日から仁が言った事をずっと考えてた。あれは告白で私達は両想い?なのに諦める?
頭がおかしくなりそうだった。どうして距離を置くんだろう……どうして嫌われようとするんだろう?
 仁と居る時間もあの日のままで、会話もある。帰りは一緒に帰るけど、口数はへって笑うことも無くなった……。


「最近ボーっとしてるけど、なにかあった?」


水樹に言われ我に返ると、本を開いてから一ページも捲っていなかった。

「文化祭の後からだよな?抜け殻みたいになってんの」


『抜け殻……』


「ほらまた!」


『あ、ごめん』


「仁となにかあった?」


『……あったよ。色んな事がありすぎて、頭パンクしそう。
ねえ、両想いなのに諦めなくちゃいけないってどんな状況だと思う?』


「どんなって……好きだけど自分には資格がないって思ってんじゃないの?相手を傷つけてしまうのが怖いから、身を引こう…みたいな」


『やっぱり、気にしてるのかな~?』


本の上に突っ伏し、暗室のカーテンを見つめた。


「なにを?」


『パチンって、したこと』


「パチン…ってビンタ?!誰が」


『説明すると長くなるから』


「いや、説明しろよ!」


『綾に言うんでしょ?』


水樹を見ると苦笑いしてた。完全に図星な顔してる。
仕方なくそうなった経緯を話すと、黙ってしまった。