「メガネ外すとまたかわるかもよ?」
『もういいよ……心臓が保たない』
「ハハッ」
エレベーターの扉が開き、先に乗り込むと改めて仁を見た。
「だから、ニヤつくな!!」
『笑ってるだけじゃん…』
「変わんねぇよ」
──エレベーターが一階に着くと、無言で外に出た。雷はどこかへ消え、雨も弱まりつつあった。
『本当に家まで来るの?』
「ん、なんかまずい事でもあんの?」
『何もないけど』
「ほら行くぞ?」
言葉を遮り先を歩く仁の背中は、楽しそうだった。エントランスで待つ仁は、私を手招きすると傘を取り開いた。
「肝心な傘忘れた」
やっと外に出ると、相合い傘のまま黙って歩いた。
それからどのくらいだろう、見慣れた十字路に差し掛かった時、真っ赤な傘をさした彼女に再び会った。その目には、さっきよりも深い恨みと悔しさが込められてる気がした……
「まだ居たんだ」
冷めた声が聞こえ、一歩後ろに下がり落ち着かない心を静めるため、仁の服の裾を掴んだ。
「やっぱり納得出来ない。アナタは私と居る方が幸せなのに、どうしてダメなの?」
「幸せなのは響心だけだろ?俺は、響心といて心から幸せを感じたことは一度もない。
愛されたかったけど、もうどうでもいい」
『もういいよ……心臓が保たない』
「ハハッ」
エレベーターの扉が開き、先に乗り込むと改めて仁を見た。
「だから、ニヤつくな!!」
『笑ってるだけじゃん…』
「変わんねぇよ」
──エレベーターが一階に着くと、無言で外に出た。雷はどこかへ消え、雨も弱まりつつあった。
『本当に家まで来るの?』
「ん、なんかまずい事でもあんの?」
『何もないけど』
「ほら行くぞ?」
言葉を遮り先を歩く仁の背中は、楽しそうだった。エントランスで待つ仁は、私を手招きすると傘を取り開いた。
「肝心な傘忘れた」
やっと外に出ると、相合い傘のまま黙って歩いた。
それからどのくらいだろう、見慣れた十字路に差し掛かった時、真っ赤な傘をさした彼女に再び会った。その目には、さっきよりも深い恨みと悔しさが込められてる気がした……
「まだ居たんだ」
冷めた声が聞こえ、一歩後ろに下がり落ち着かない心を静めるため、仁の服の裾を掴んだ。
「やっぱり納得出来ない。アナタは私と居る方が幸せなのに、どうしてダメなの?」
「幸せなのは響心だけだろ?俺は、響心といて心から幸せを感じたことは一度もない。
愛されたかったけど、もうどうでもいい」


