ダサカレ─ダサイ彼氏ハ好キデスカ?

「あ!葉瑠、傘忘れてる」


『あーっ、ムカつく!!』


お父さんの傘を受け取り、不意打ちで呼ばれた名前にドキドキして、余計に苛立った。


「気をつけて帰れよ!?お子ちゃま」


『お子ちゃまお子ちゃまうるさい!顔がいいからって調子に乗んな!!』


冗談でそんなセリフを吐き捨て、ケラケラ笑う仁を残し家をでた。


『ハァ~…』


なんだったんだろうか今のは……。未だにドキドキする胸に手を当て、目を閉じた。


「その人前でニヤつく癖、いい加減治せよ?」


目を開けると、目の前に仁がいた。


『またからかいに来たの?』


「いや、心配だから送ってく。ってかまだ怒ってんの?」


『別に。勝手に泣いて、勝手に帰るだけだし?
ついでに勝手に仁の事も嫌いになるから!!』


「あはは!それウケる、じゃあ俺は勝手に好きになるわ」


『なにそれ。』冗談なのか本気なのか、怒ったフリをしてないと自分を保てなかった。


『あと、送ってくれるのはいいんだけど、前髪くらい直したら?』


「あっ……」


ピンを外し、前髪をクシャクシャにすると見慣れた仁が現れた。


『おわ~っ…』


「なに?」


『別に』


「なんだよ」


『前髪だけでこんなに変わるなんて』