ダサカレ─ダサイ彼氏ハ好キデスカ?

『ハァー…ヒトの家でなにしてんだろ。…帰ろう』


力の入らない足に活を入れ立ち上がると、誰も居ないのを確認し脱衣場に向かった。早く着替えて帰ろう、それしか頭になかった。
 まだ湿ってるシャツに袖を通すと、気持ち悪わるいのを我慢し扉に手をかけた。『ふーっ』と息を吐き、そーっと開けると再び誰も来ないのを確認して玄関に向かった。


「──どこいくんだよ?」


その言葉に足が止まった。


『…帰ろうかと思って』


また玄関に向かって歩みを進めると、仁が近づく足音が聞こえた。


「もう少し居ろよ、まだ話したいことあるし」


『今日は帰る。泣きながら帰る』


靴を履きサヨナラを言うため振り返ると、仁に肩を押され背中を思い切り打った。


『──うっ!!ったぁ……』


顔を上げると仁の顔がすぐ近くにあって、思わず顔を背けた。


「ごめん」


ようやく聞こえた言葉がそれだった。


『何に謝ってるの?』


「いろいろ……」


『なにそれ……あぁ、嫌いになれたらいいのに』


「……ごめん、俺嘘ついた」


『もういいよ、なんか聞きたくない』


「ちゃんと聞けよ。これが告白だったらどうすんだよ」


『ハハッ、ありえない』


「……お前をからかうために嘘ついてごめん。まさか泣くとは思わなかったから、対処法がわかんなくて……」