ダサカレ─ダサイ彼氏ハ好キデスカ?

「足りっかな?」


そう言いながら床にタオルを引くと、再び部屋に戻っていった──


「とりあえず、これ着て」


脱衣場で渡された服に袖を通すと、予想以上にぶかぶかで笑ってしまった。


『ずり落ちそう…』


ズボンのウェストをゴムで縛ると、頭からバスタオルを被り濡れた制服を絞った。


「着替えたか?」


ドアの向こうから声がし、うん!と答えると「開けるぞ?」と躊躇いがちに開く扉から仁が顔を覗かせ、私の格好を見て笑った。


「デカ過ぎる」


そう言いながらそばに来ると、絞ったまま置いていたスカートを広げ、ハンガーに掛けはじめた。


「帰りは送るから」


『一人で帰れるよ。お父さんの傘まだ返してもらってなかったし、ちょうどよかったかも!』


鏡越しに背中を見ながら、会話をした。前髪をピンで止めてるのか、時折見える横顔から、メガネをしてるのに気づいた。


『メガネは外さないの?』


「なんで?」


『特に理由はないけど、外さないでね?』


寸の間沈黙になり、フッと仁が笑った


「外してって言うのかと思った」