ゴロゴロと唸りをあげる雷が次第に大きくなり、ポツリポツリと弱く少なかった雨は、次第に激しさを増していった。


「マジかよ…」


走りながら私を気にかけ、速度を落とす仁に駆け寄ると、伸ばされた手を掴んだ。


「大丈夫か?!」


『うん!』


大きく頷き、全速力で走る。十字路でサヨナラしたらあとは家まで走るだけ、そう思い必死にはしった。


『もう少し学校にいればよかったね?!』


「ああ!」


 そんな会話をしてると、急に目の前が明るくなり、車でも来たのかと速度を緩めても、前方の車が動く事はなかった。


「久しぶりね?」


車をよけた瞬間、ライトが消えドアが開いた。
思わず足を止めた私と仁の前に、真っ赤な傘を差したその人が現れた…──


「やっとみつけた」


ヒールを鳴らし仁に近寄ると「ずっと探してたんだから」と不適な笑みを浮かべた。


「誰に訊いても知らないはずよね?こんなに変わってるんだもの。そう思わない?」


私に気づいてるのか、再び仁に視線を戻した。


「どうしてあの時教えてくれなかったの?捜してるの知ってたでしょ?」


「……帰れ。」


「やっと会えたのに、帰るバカがどこにいるのよ?」


「いいから帰れ!!」