ダサカレ─ダサイ彼氏ハ好キデスカ?

2人の目の前には、腰にエプロンを巻いた水樹が必死に謝っていた。
 チワワ喫茶に戻ったのは、それから少ししてからだった。
ホットケーキの注文は相変わらずで、奥でがんばる姿は変わらなかった。


『代わろうか?』


そう声を掛けると、頷きだけが返ってきた。


「俺、もうダメ…」


倒れ込む二人に、そこまで疲れるのか疑問に思いながら、注文数を見ながら混ぜた。そうして文化祭一日目は、大盛況のうちに幕を閉じた────


 翌朝気分よく目を覚まし、カーテンを開けて目を伏せた。天気予報では晴れマークが並んでいたのに、窓の外はどんより曇り空だった。
雨が降らない事を願いながら、足取り重く十字路へ向かった。
昨日の事そろそろ言わなくちゃいけないのは分かってるのに、いざ本人を前にすると話題を変えてしまう……。


「おはよう」


急に声がしその方を見遣ると、先に来ていたのか塀に寄りかる仁が、怪訝な顔をした。


『おはよう…』


「どうした?」


実は…、そう切り出せたら楽になれたのに、口からでたのは『なにもないよ?』だった。


「ならいいけど」