ダサカレ─ダサイ彼氏ハ好キデスカ?

『そう……』


「何回かけても出ない……ハァ~、葉瑠が羨ましい」


仁を見ながら言う綾に、食べていた物が詰まりかけた。


『綾っ!!』


チラッと仁を見遣ると、ちょうど仁も私を見た所で、バッチリ目があってしまった。


「水樹なら、さっき焼きそば作ってたけど」


そう言って、焼きそばをすすってた。


『そうなの?』


綾は目をパチクリさせ急に立ち上がり「行くね?邪魔しちゃ悪いし、確認したいことも出来たから」と、まだ電話し続けてる柚樹と共に去っていった──


『柚樹巻き込まれてる』


「そういや、傘返したか?」


『え?ああ、浦田先生の机の上に、手紙と一緒に返したけど?』


「そう」


いつの話と突っ込みながらも、未だにあの日の朝の事は言えないままだった。
 昼食を済ませると、改めて校内を見て回った。どこも人で溢れ、楽しい雰囲気で満ちていた。


『会えたのかな?』


ふと綾が気になり、ケータイを取り出した時に肩を叩かれた。


『ん?』


「会えたらしい」


顎で示す方を見ると、笑顔で誰かと話してる綾を見つけた。