ダサカレ─ダサイ彼氏ハ好キデスカ?

 私と仁がホットケーキミックスを混ぜる隣で、熱されたホットプレートでひたすらホットケーキを焼き、またその隣では盛り付けが──、と流れ作業のように続いていた。
次々に入るお客さんに合わせ、ホットケーキの注文も増え、地味にキツい作業を時折休憩を入れながら、交代の時間が来るまでひたすら混ぜ続けた。


『お化け屋敷とかベタな方が楽だったかも』と愚痴る私に「そしたら、俺は即お化け役だな」と返事がきた。
その返しが聞きたくて、わざと愚痴っては1人肩を震わせた。
 腕が痛くても楽しくて、あっという間に交代の時間となった。
急に肩を叩かれ「桜庭、交代の時間」と声を掛けられふと時計を見るとお昼を少し回った所だった。


『柚樹は何してるのかな?』


教室を出て廊下を歩きながら、一度も会ってない柚樹の話になった。今さらだけど、柚樹のクラスはどこだろう?


『柚って何組?』


「さあ?」


『歩いてたら見つかるかな?』


「人が多いからなぁ」