ダサカレ─ダサイ彼氏ハ好キデスカ?

今の仁を知ったら、この人どんな反応をするんだろう?


『あの!』


仁がどれほどイケメンなのかを話してる最中に、声を掛けると睨まれた。


『あの、遅刻しそうなので、そろそろ行かないと』


「あっ!ごめんなさい」


忘れてたと言わんばかりのリアクションをし、「緒方くんに会ったら、よろしく言っておいてね」とウィンクするとヒールを鳴らし去っていった。
 いつの間にか動悸も治まり、急に静かになった道を足早に歩いた。


 どうして仁なんだろう?あの人が言っていた事を思い返しているうち、そんな疑問が顔をだした。顔が良い人なんてたくさんいるのに、どうして仁にこだわるんだろう?


『オモチャじゃないのに…』


 ──教室に入ると仁の姿は無くて、それにホッとしてる自分を慰めた。3日前はあんなに会いたくてしかたなかったのに、今は避けようとしてる。


「おはよう」


突然聞こえた声に心臓が跳ね上がった。
 何も言わず立ち上がると、顔を合わせずトイレに向かった。涙を洗い流すと、何も無かったように席に戻った。


「具合でも悪いのか?」


『ううん、大丈夫』


なるべくいつも通り話した。授業もいつも通り受け、綾や柚樹とも話した。