小さな石ころを弾きながら歩いてると、仁が帰る道の方から、赤い車が出てきた。
『やっぱり探してるんだ』
車が近づくにつれ、俯く顔が深くなる。見つからないようなるべく端を歩いたからか、すれ違ったのも分からなかった。
気づいた時にはエントランスにいて、チャイムを鳴らしていた。
「……はい?」
機械越しに聞く声は、意外にも明るかった。
『ぁ、桜庭です。プリント届に…──』
最後まで言うことなく、扉が開き「入って」の言葉を聞いて、カバンのとってを強く握り中へ入った。
エレベーターを待つ間、何度も後ろを振り返り、開いた扉が全て開く前には、閉のボタンを連打していた。
『なんでこんな事してるんだろう?』
動き出したエレベーターの数字が切り替わるのを見ながら、壁にもたれそんなことを呟いた。
ポンッと音がし、扉が開くと誰かが立っていた──
『なんだ、仁か…』
半日ぶりに見る姿に、それまで張りつめていた緊張の糸が途切れ、その場に崩れ落ちた。
「大丈夫か?」
うんと頷く目に涙が溜まるのを感じ、プリントを取りながら涙を拭った。
『プリント…』
『やっぱり探してるんだ』
車が近づくにつれ、俯く顔が深くなる。見つからないようなるべく端を歩いたからか、すれ違ったのも分からなかった。
気づいた時にはエントランスにいて、チャイムを鳴らしていた。
「……はい?」
機械越しに聞く声は、意外にも明るかった。
『ぁ、桜庭です。プリント届に…──』
最後まで言うことなく、扉が開き「入って」の言葉を聞いて、カバンのとってを強く握り中へ入った。
エレベーターを待つ間、何度も後ろを振り返り、開いた扉が全て開く前には、閉のボタンを連打していた。
『なんでこんな事してるんだろう?』
動き出したエレベーターの数字が切り替わるのを見ながら、壁にもたれそんなことを呟いた。
ポンッと音がし、扉が開くと誰かが立っていた──
『なんだ、仁か…』
半日ぶりに見る姿に、それまで張りつめていた緊張の糸が途切れ、その場に崩れ落ちた。
「大丈夫か?」
うんと頷く目に涙が溜まるのを感じ、プリントを取りながら涙を拭った。
『プリント…』