ダサカレ─ダサイ彼氏ハ好キデスカ?

『あとは大丈夫?』


「あぁ…」


鍵を開け部屋に入るのを見届けると、ちゃんとした道を通り、十字路まで戻ると、ケータイが鳴った。それは仁からの“ありがとう”メールだった。


 ─あれから一週間が経ち、月が変わり季節も変わり始めていた。
文化祭での出し物も決まり、徐々に準備が進められていく。
 あの日以来、赤い車が止まっているのも見かけなくなり、仁もいつもの仁に戻りつつあった。
 その日は、突然降り出した雨にも気づかないほど作業に没頭していて、1人また1人と帰っていく中、気づけば私と仁だけになっていた。


『そろそろ帰ろうか?』


「あぁ」


中途半端に塗られた看板を立てかけ、片付けを済ませ教室を出た。


『強くなりそう…傘借りていこうかな?』


「折りたたみは?」


『この雨に折り畳みは、ちょっと小さ過ぎない?』


「……だな。」


余ってる傘が無いか確認するため、職員室へ向かうと「傘?最後の一本貸しちゃった所なの…ごめんね?」と謝られた。
 どうしようか悩んでいると「傘無いんだって?」と声を掛けられた。