「大丈夫…、大丈夫…」
仁からずっとその言葉が聞こえてた。
古いマンションを横切ると、新しいマンションが姿を現した。
『ねぇ、どうして遠回りするの? 普通に帰ればいいのに』
「お前どんな車か覚えてるか?」
『目立つ色だったから』
「じゃあ、その車があるか見てこい」
『えっ!?なんで私が?』
仕方なく車を見に行くと、赤い車がちょうど出ていく所だった。
『帰ったみたいだよ?』そう伝えると、仁の顔が和らいだ。
そしてすぐに険しい顔に戻り、ギュッと手を握られ「俺が良いって言うまで、離すなよ?」と言った。
『え?うん』
仁の住むマンションはオートロック式で、仁が鍵を開け中に入るのを見届けてから帰ろうと思っていたら、何故か私まで中に入ることになってしまった。
ピタリと閉まる扉を見ながら、私は何をしているんだろう?と思いながら、とりあえずエレベーターに乗った。仁は戸が閉まるまで手をずっと握っていた。そして、隙間なく戸が閉まり動き出した時、その場に崩れ落ちた。
「今度あの車見たら、俺に知らせろ…。あと、もし誰かに俺の事を聞かれても知らないフリしろよ?」
そう言った姿が凄く小さく見えた。
仁からずっとその言葉が聞こえてた。
古いマンションを横切ると、新しいマンションが姿を現した。
『ねぇ、どうして遠回りするの? 普通に帰ればいいのに』
「お前どんな車か覚えてるか?」
『目立つ色だったから』
「じゃあ、その車があるか見てこい」
『えっ!?なんで私が?』
仕方なく車を見に行くと、赤い車がちょうど出ていく所だった。
『帰ったみたいだよ?』そう伝えると、仁の顔が和らいだ。
そしてすぐに険しい顔に戻り、ギュッと手を握られ「俺が良いって言うまで、離すなよ?」と言った。
『え?うん』
仁の住むマンションはオートロック式で、仁が鍵を開け中に入るのを見届けてから帰ろうと思っていたら、何故か私まで中に入ることになってしまった。
ピタリと閉まる扉を見ながら、私は何をしているんだろう?と思いながら、とりあえずエレベーターに乗った。仁は戸が閉まるまで手をずっと握っていた。そして、隙間なく戸が閉まり動き出した時、その場に崩れ落ちた。
「今度あの車見たら、俺に知らせろ…。あと、もし誰かに俺の事を聞かれても知らないフリしろよ?」
そう言った姿が凄く小さく見えた。


