ダサカレ─ダサイ彼氏ハ好キデスカ?

「ポラムマンションって、この道で合ってるかしら?」


『あ…多分、この道をまっすぐ行ったらわかると思います』


そう答えると「ありがとう」と笑顔で去っていった。暫くその場で待ってみたけど、赤い車が戻る気配はなかった。


「なにしてんの?」


その声に振り向くと、険しい顔の仁がいた。


『柚樹は?』


「帰った。それより何してんの」


『あぁ、さっきポラムマンションまでの道きかれて……』


「どんな人?」


『赤い車に乗った、足の長い綺麗な女の人…。まっすぐ行ったら分かるかも知れないって、ダメだった?』


十字路に目を向け、再び仁の顔を見た。


「そっか……。ちょっと付き合え」


いきなり腕を掴まれ、仁が帰る方向とは違う方に歩き出した。


『どこいくの?』


「俺の家」


『向こうの道じゃないの?』


「裏道行くんだよ。嫌な予感がするから」


言ってる意味も、自分がなぜ連れて来られたのかも分からず、植木の下に出来た抜け穴を潜らされた。


「行くぞ」


スカートの土埃を払う暇もなく、再び腕を引かれた。