夏祭り以来3人で会うのは久しぶりで、あんな事があったのに2人が平然と同じ空間にいれることが不思議でならなかった。


「座れば?」


仁に言われ、2人の間に座ったはいいけど、窮屈な沈黙だけはかわらなかった。何を話すでもなく、どっちに話しかければいいのかも分からないそんな中で口を開いたのは柚樹だった。


「3人で集まるの久しぶりだね?」


気を使ってか、そう言った声が震えてた。『そうだね』に続く言葉が見つからず、また静かになってしまった。
校舎の方はあんなに賑やかなのに、此処だけお葬式のような静けさ。
 しばらく考え、立ち上がると『帰る』と言い残しその場を去った。
どうして一緒にいれるんだろう?あの日2人の間に何があったんだろう?


『ハァー』


 十字路の手前に、珍しく車が止まっていた。目立つというか、派手な赤い車は近づく度胸の辺りを重くした。
足は進むのに、気持ちが行きたがらない。何故だろう?ただ通り過ぎるだけなのに。


「あの……」


その声が足を止めた。
ゆっくり振り向き、目線を上げると、「ちょっといい?」と車の中から足の長い女性が出てきた。