夏空の下、温い風に吹かれ入道雲が流れ行くのを黙って眺めていた。
どのくらいそうしていたのだろう?頭のてっぺんが熱くて、思わず手で抑えると柚樹と目があった。


『暑いね』


「場所、変えようか?」


『…うん』


苦笑しながら、内心恥ずかしかった。移動すると行っても、初めて来た場所に何があるのかも分からず、柚樹のあとをただ着いていくだけになった。


「水樹が出掛けちゃって誰もいないけど、どうぞ?」


そう言われ着いた場所は、中村家だった。
ここまで来て断るわけにもいかず、不安なまま柚樹に次いで入った。
 広い玄関を抜け、「部屋汚いから、ここで…」とリビングに通された。


「好きな所に座ってて?」


リビングを出る柚を目で追い、辺りを見渡しながらソファーに腰を下ろした。
 しばらくして、戻ってきた柚樹の手にはコップが2つ握られていた。


「どれがいいか分からなかったから、これでいいかな?」


『うん、ありがとう』


麦茶を受け取ると、エアコンのスイッチを入れ、私の前に座った。
なんだろ、さっきより気まずい……