ダサカレ─ダサイ彼氏ハ好キデスカ？

仁の背中で夢を見た。
すごくリアルで、現実には起こりそうにない幸せな夢。
　眠りにつく前の延長のような始まりだった。
眠ってる私を近くのベンチに座らせ、休憩している仁はジッと私を見つめ何かを呟いていた。
　仁は私に近づきキスをするとため息を吐いた。
そのキスは、ほんの一瞬の出来事でとても長く映っていた。


　ゆっくり目を開けると、ベッドの中にいて朝になっていた。浴衣はスエットに変わり、隣に綾が眠っていた。


『どうして？』


起きあがろうと足を下ろした時、両足に痛みが走った。


『筋肉痛～…』


その反動で、昨日合った事すべてを思い出してしまった。夢であって欲しいと願う記憶は、綾が夢じゃないと証明していた。


『痛っ…』


不自然な歩き方で階段を下りると、台所に向かった。


『おばあちゃん、おはよう』


「おはよう、綾ちゃんは？」


『まだ寝てる』


「そう」


おばあちゃんはそれだけ言うと、朝食作りに戻った。昨日、あれから何があって綾がいるんだろう？
さっぱり思い出せず、とりあえず部屋に戻ることにした。