ダサカレ─ダサイ彼氏ハ好キデスカ?

消毒液を片付けると隣に座った。捲った浴衣を直し、しばらく黙っていた。


「やっぱ戻るか?」


『……でも』


「帰り道あっちだし、顔合わせなきゃいいわけだし」


『うん』


 お店を後にし、仁の後ろを遅れて歩いた。


『ねえ』


「ん?」


『何があったか…訊いた?』


「……訊いた。なんかムカついた」


『そっか。やっぱ知ってたんだ……』


「油断しすぎだろって、なんでそうなんだよって、お前探しながら思った。」


『ごめんなさい』


「なにキスされてんだよ!!って、無防備すぎだろ?!って……ホント鈍感過ぎて笑えてくる」


『ごめんなさい……』


「お前が悪いんじゃないんだから、謝んなよ。あゞー思い出したらイライラしてきた。」


ハァとため息を吐くと、振り返り私が来るのを待ってるみたいだった。


「足痛むか?」


『ううん』


首を左右に振り歩こうとすると、仁が私の前にしゃがみこんだ。


「お前遅いから、乗れよ!そっちのが楽だし」


『いいよ、歩けるし』


「いいから」


『……』


 結局おんぶされる事になってしまった。
仁の背中は広くて暖かくて、ドキドキと心臓の音が聞こえた。
少しだけ早い鼓動。私がいるから、だったら嬉しいんだけどなぁ……


『仁、眠い…』


「ん?着いたら起こすから寝てろ」


『ありがとう……』