ダサカレ─ダサイ彼氏ハ好キデスカ?

「ごめん、少しだけこうさせて?」


『うん』


「人って不思議だよね?ダメだと分かった瞬間もっと欲しくなる。ダメだって言われたのに未練がましくしがみついて、相手が自分に振り向かないのをわざわざ見てるなんてさ?」


『柚樹……』


「でも、あんまり待たせると誰かのモノになっちゃうよ?!」


「ごめんね?」の後に体が離れ、見つめ合ったまま柚樹の顔が近づいてるのに気づいた。


『イヤッ!』


顔を背け、柚樹から逃げた。


「行かないで?」


手を捕まれ引き寄せられた拍子に、キスをされた。
 ゆっくり離れる柚樹は、私と目を合わせなかった。


『そんな顔するなら…変なことしないでよ。嫌いになるような事しないでよ!!』


柚樹を睨むとその場を離れた。階段を下りてる途中、飲み物を抱えた仁に遭遇し、声を掛けられたものの立ち止まることなく下りた。


「葉瑠?」


名前を呼ばれ顔をあげると、綾と水樹が近寄ってきた。


「どうしたの?2人は?」


なにを察したのか、綾の手が髪に触れた。なだめるように優しく撫でてくれる手に甘えたくなるのを堪え、キツく目を閉じた。


『はぐれちゃって…』


嘘つき。そんな声が聞こえて来そうだった。


「何かあったんでしょ?じゃなきゃ、泣いたりしないし…」


いつもなら“そう”って笑って終わるくせに。
大丈夫と首を振り、しばらく黙り込んでると、綾に抱きしめられた。


「よしよし。何があったか知らないけど、苦しかったね?もう大丈夫だよ」


トントンと背中を叩くリズムに、落ち着いてきたからか、また泣いてしまった。