ダサカレ─ダサイ彼氏ハ好キデスカ?

「飲み物買ってくる。適当でいいよな?」


1人飲み物を買いに行った仁の背中を、姿が見えなくなっても見ていた。
黙ったままの柚樹はずっと俯いていた。


「ごめんね?」


ようやく柚樹が口を開いた。


「僕が連れ回したりしたから……」


『かすり傷だし、大丈夫だから気にしないで?』


「本当にごめん。ちょっとはしゃぎすぎたな……」


『いいよ、柚樹のおかげでいっぱい食べれたし、私も楽しかったから』


「良かった。葉瑠に嫌われたらどうしようかと思った…」


『そのくらいじゃ嫌いにならないよ!』


「そっか」


『うん』


妙な空気になり、沈黙が続いた。


「ねえ、どこが好きなの?」


『え?』


「僕が前に葉瑠が好きだって言ったこと、覚えてる?」


『うん……』


「僕まだ好きだよ?偉いでしょ?諦めようとしたんだけど、やっぱりダメだった」


シュンとする柚樹になんて言えばいいのか分からず、俯いた。


「僕じゃダメなのは分かってるけど、やっぱり諦められないんだ。
緒方さんのどこが好きなの?」


『いきなり訊かれても…』


「葉瑠……」


腕を掴まれ抱き寄せられると、もの凄い速さで動く柚樹の鼓動が聞こえた。