ダサカレ─ダサイ彼氏ハ好キデスカ?

「誰探してんだ?」


声のした方に向くと、メガネを直す仁がいた。


『いつからいたの?』


「さあ?」


フッと笑い、伸びた腕が目の前を通り過ぎ、再び目の前を通った時クレープが目に入った。それはあっという間に仁の口の中へと消えていった。


『あぁっ!』


「甘っ…ほらっ」


半分になったクレープを渡されショックを受ける私を見て、柚樹が苦笑した。


『イチゴが…』


「分かった分かった!」


渋々新しいクレープを買った仁は、食べかけのクレープと交換してくれた。
 その後も柚樹に連れまわされ、屋台の梯子を繰り返した。その度に躓き、転びそうになるのを仁が助けてくれた。


「次は…──」


完全に油断してた。
腕を引っ張られた拍子に、段差に躓き思いきり転んでしまった。


「大丈夫か?!」


直ぐ仁に起こされ、柚樹に謝られた。幸い擦り傷だけで済んだものの、せっかくの浴衣が汚れてしまった……


「少し休むか」


誰も居なそうな場所をと探しても、どこも人でごった返し、休めそうな場所は階段上の社殿しかなかった。
長い階段を仁におぶられ上ると、短い階段に腰を下ろした。