ダサカレ─ダサイ彼氏ハ好キデスカ?

隣を覗き込むとパチリと目を開けた仁が「もういっかい」と呟き、目を閉じた。


『もういっかい……』


俯き仁の手を見つめると、戸惑いながらもそっと指を絡めた。ギュッと握った手に、相手からも反応があって心臓が跳ね上がった。


「着いたら起こして」


 それから30分一生分の幸せを味わったような気分でいると、目的地の華崎駅で電車が止まった。
 仁を起こし手を引いて電車から下ろすと、近くのベンチに座らせた。


『大丈夫?』


「んっ…」


寝起きの仁は驚くほど素直で、動きが鈍い。
そのまま目が覚めるのを待ってると、また眠りに入ろうとする仁を必死に起こした。


『ここで寝られると困るんだけど!?』


「ちゃんと起きてるって……!」


『そんな眠そうな顔で言われても…起きないとメガネ外すぞ!』


「……はい、起きます」


急にシャキッとする仁に、よっぽどメガネを外した顔を見せたくないんだなと苦笑した。


『帰ろっか?』


「んっ」


やっと駅を出ると、伸びをする仁に『夢見てた?』とさり気なく訊いてみた。