「こんな長い時間一緒にいるの、初めてだな」
『…うん』
「今日はしゃべり疲れた」
フラッシュバックする声は、全て過去の話しをする仁の声なのに、浮かぶのは私にだけ向けられた表情全てで……左手にはまだ感触を思い出せる温もりが蘇る。
「来たぞ?」
『あ、うん』
混み始めた電車の中、ドア付近に並んで座るとため息が出た。
「どうした?」
『ううん』
「具合悪いなら言えよ?」
『うん、大丈夫。ちょっと思い出した事があったから』
「そっか」
そうしてる内にドアが閉まり、動きだした向かいの景色がだんだん懐かしく落ち着く景色へと変わっていった。
一駅止まるごとに入れ替わる人の流れを見ながら、動き出した弾みで重たくなった肩に意識が集中した。
微かに聞こえる寝息にドキドキしていた。無防備な手のひらを見つめ、そっと指を絡めてみた。
俯き目を泳がせてる私の存在がバレないように、ドキドキがバレないように、握った指を静かに解いた。
名残惜しそうに離れる手は、握り返される事もなく掌を伝い離れた。
「もう少し……」
『……っ!?』
寝言?今の…寝言?
頭の中はテンパり、耳はダンボ並みにデカく、熱を持った。
「もっかい、今の…」
『…寝言?』
『…うん』
「今日はしゃべり疲れた」
フラッシュバックする声は、全て過去の話しをする仁の声なのに、浮かぶのは私にだけ向けられた表情全てで……左手にはまだ感触を思い出せる温もりが蘇る。
「来たぞ?」
『あ、うん』
混み始めた電車の中、ドア付近に並んで座るとため息が出た。
「どうした?」
『ううん』
「具合悪いなら言えよ?」
『うん、大丈夫。ちょっと思い出した事があったから』
「そっか」
そうしてる内にドアが閉まり、動きだした向かいの景色がだんだん懐かしく落ち着く景色へと変わっていった。
一駅止まるごとに入れ替わる人の流れを見ながら、動き出した弾みで重たくなった肩に意識が集中した。
微かに聞こえる寝息にドキドキしていた。無防備な手のひらを見つめ、そっと指を絡めてみた。
俯き目を泳がせてる私の存在がバレないように、ドキドキがバレないように、握った指を静かに解いた。
名残惜しそうに離れる手は、握り返される事もなく掌を伝い離れた。
「もう少し……」
『……っ!?』
寝言?今の…寝言?
頭の中はテンパり、耳はダンボ並みにデカく、熱を持った。
「もっかい、今の…」
『…寝言?』


