ダサカレ─ダサイ彼氏ハ好キデスカ？

「はい」


「お前の事探しにまた訪ねてきたぞ？」


「いつ頃？」


険しい顔で話を聞く仁は、私を気にしてか小声になる。


「３日前くらいかな？諦めの悪い奴に目を付けられたもんだ。気をつけろよ？」


「うん。俺の事…」


「ここを出てからは何も知らないって言ってある。実際住所も知らないしな」


「迷惑ばかりかけてすいません」


「それが人生だ、気にするな!あの子大事にしろよ？」


「うるせっ!」


嫌でも耳に入る会話を背に、扉に向かってると「また盗み聞きかよ」と言われ、振り返るといつもの仁がいた。


「よし、ラーメン食いにいくぞ!」


『なんでラーメン？』


「帰りによく食ってたんだよ、まだあるかなあ？」


　──仁の思い出のラーメン屋は、潰れることなく今も営業してた。
そこのご主人は仁の事を覚えていて、チャーシューをオマケしてくれた。
外見の変わり様には驚いていたみたいだけど、ラーメンを食べる姿は何も変わってないと嬉しそうに話していた。


『楽しかったあ』


電車を待つ間、ベンチに座り空を仰ぎ両腕を伸ばした。