ダサカレ─ダサイ彼氏ハ好キデスカ?

「腹へったな?」


そう言いながら校庭から目を離さなかった。
下から吹く風に前髪を揺らし、サッカーの練習をする生徒を見下ろしていた。


「サッカーだけ行っとけば良かったなぁ」


『今からでも遅くないんじゃない?』


お互い校庭を見つめたまま続けた。


「いや、目立つし、今のままでいいや。なんだかんだで、今のほうが楽しいし」


『それならいいけど』


「そろそろ行くか!?」


『どこに?』


「職員室に決まってんじゃん」


『あー、忘れてた……』


 音が聞こえてそうなほどバクバク動く心臓を押さえ、ゆっくり開くドアを見つめた。


「失礼しまーす」


「おお来たか!」


「そう言われたので、来てあげましたよ!」


「生意気な!」


二人の会話を聞きながらチラッと仁越しに見えた顔は、すごく優しそうな笑顔だった。


「あっ、コッチは高校入ってから出来た友達?」


“友達”が引っかかったものの、お辞儀をした。


『はじめまして、桜庭葉瑠といいます』