ダサカレ─ダサイ彼氏ハ好キデスカ?

「夜、彼女の誘いでクラブに足を運んだ。最初は俺のそばにいて、楽しそうにしていたのに、目を離した隙に違う男と話てた。
俺に声を掛けてくる女を見ても、笑ってた。
彼女が見てたのは、周りの反応だったんだ
 時々俺の所に戻ってはキスをし、再び違う男に媚びを売ってた。「本気になるわけ無いじゃない。あんな子供」それが彼女の答えだった」


沈黙が続き、振り返る仁から目をそらした。


「早く来いよ」


ゆっくり上ってると、目の前に手が差し出された。


「お手!なんてな」


顔を上げると、笑ってた。


『にゃー』


と呟き手を乗せると、さらに笑った。私はその笑顔を見るためにここに来たのに、仁は違う想いでここに居るんだ。
 手を繋いだままさらに階段を上り、話も続いた。


「俺はただの客引き人形。アイツの欲求を叶えるいい客引き人形だったってわけ。
 それまで楽しかった日々は、急につまらなくなった。魅力的だった彼女も、部屋で待つ時間も全てが嫌になって、何も言わずに姿を消した。
 髪を黒くし、何もなかったように学校に通った。そんな俺に「久しぶりじゃん!」なんて声を掛けてくれた仲間も、気づけば居なくなってた」


『それでこんな姿に?』


「そう」