その言葉の響きがやけに冷めて聞こえた。過去の話だからと笑って話す姿を見てると、なぜか胸が苦しく痛んだ。“ケジメ”なんてカッコよくくくっても、どこかに未練があって断ち切れないでいるんだと勝手に思っていた。
「それから暫くして俺たちは付き合い始めた。どっちが先に好きだと言ったかは覚えてないけど、俺は彼女の家で暮らすようになり、仲間とも連まなくなった。
彼女が仕事から帰るのをただ家で待つ、そんな日常すらあの頃は苦にも思ってなかった、寧ろ楽しかった。ヒールの音が玄関で止まり、開く扉の向こうには必ず彼女がいる。その瞬間俺のモノなんだって確認してた」
耳を塞ぎたくて仕方がなかった。楽しそうに話す顔を見る度、ジワジワ溢れる涙が目に溜まっていく。
階段を上る足もだんだんゆっくりになり、自分でも何がしたいのかよく分からなかった。止むことのない仁の話は嫌でも耳に入るのに、私の苦しむ心(こえ)は仁には届かない……苦しいなぁ…
「 彼女が帰ってきて一緒に晩ご飯作って、テレビ見ながらイチャついて……その延長で深い所まで落ちた。朝裸で目覚めるのは当たり前で、そんな毎日が永遠に続けばいいとさえ思た
でも、始まりがある以上どこかに終わりがあって、気づかされる。
パンパンに膨らんだ風船が何のキッカケで割れるように、俺の思いも一気にしぼんだ。」
階段を上りきった所で足が止まり、そのまま振り返ることなく、続きを続けた。
「それから暫くして俺たちは付き合い始めた。どっちが先に好きだと言ったかは覚えてないけど、俺は彼女の家で暮らすようになり、仲間とも連まなくなった。
彼女が仕事から帰るのをただ家で待つ、そんな日常すらあの頃は苦にも思ってなかった、寧ろ楽しかった。ヒールの音が玄関で止まり、開く扉の向こうには必ず彼女がいる。その瞬間俺のモノなんだって確認してた」
耳を塞ぎたくて仕方がなかった。楽しそうに話す顔を見る度、ジワジワ溢れる涙が目に溜まっていく。
階段を上る足もだんだんゆっくりになり、自分でも何がしたいのかよく分からなかった。止むことのない仁の話は嫌でも耳に入るのに、私の苦しむ心(こえ)は仁には届かない……苦しいなぁ…
「 彼女が帰ってきて一緒に晩ご飯作って、テレビ見ながらイチャついて……その延長で深い所まで落ちた。朝裸で目覚めるのは当たり前で、そんな毎日が永遠に続けばいいとさえ思た
でも、始まりがある以上どこかに終わりがあって、気づかされる。
パンパンに膨らんだ風船が何のキッカケで割れるように、俺の思いも一気にしぼんだ。」
階段を上りきった所で足が止まり、そのまま振り返ることなく、続きを続けた。


