ダサカレ─ダサイ彼氏ハ好キデスカ?

 それからさらに3日が過ぎたある日、ケータイが鳴った。ディスプレイには待ちくたびれた“緒方仁”の名前があった。
電話に出ると、あの日と変わらない声が耳に届いた。


「元気か?」


そんな挨拶から始まり、ぎこちない会話が暫く続き、先に切り出したのは仁の方だった。


「お前が行きたいって言った場所、まだ行きたいか?」


『うん』


「それは、今も変わってないって事か」


『うん』


「そうか……」


そこから沈黙が続いた。
受話器の向こうにいる仁は、どんな顔をしてるんだろう?「まだ行きたいか?」そう聞かれた時に、違う答えを言っていたらこの沈黙は在ったんだろうか?


「じゃあ…明日、朝9時に迎えに行くから」


『え、明日?!』


「俺の気が変わらない内にしようと思って…」


『分かった。着いたら電話して?』


「ん。じゃあな」


『うん、また明日』


電話を切ったあと、全身の力が抜けそのまま床に座り込んだ。
 その夜、クローゼットとのにらめっこが深夜遅くまで続いた。