ダサカレ─ダサイ彼氏ハ好キデスカ?

その光景を見ていた仁が、手を止め「お前のばあちゃんって感じ」と言った。


『よく分かんないけど、ありがとう』


仁は小さく頷き、満足そうに麦茶を飲むと、再び問題を解き始めた。
 気づば時計の針は夕方を示していて、お昼を食べたかすら記憶にないほど没頭していたんだと思うと、怖くなった。
 ふと仁に目を向けるとまだ問題を解いていた。
こんなに近くで、それも真正面から仁を見たのは初めてかもしれない。
いつも横顔だし、向き合って話す事もあまりなかった気がする。


「なに?」


ジッーと見てると、手を動かしたままの仁にそう言われた。


「見られるとやりづらいんだけど?」


眉間にシワをよせ目線を上げる仕草に、ドキッとした。


『時間、大丈夫なのかなって』


「ん?」


時計に目を向けるとシャーペンを置き、腕を伸ばした。


「結構やってたんだな」