その会話の翌日、私の前には無言で問題を解く仁が座っていた。
昨日柚樹と別れた後、「明日行くから」と突然告げられ、付け足すように「勉強」と呟いた。
今朝十字路まで迎えに行き、邪魔にならぬよう居間の隣の部屋にテーブルを並べ、静かな勉強会が開かれた。
解らない問題は教え合い、時々休憩を挟みながら勉強は進んだ。
『よし!』
最後の問題を解き終えて顔を上げると、仁と目が合い、どちらともなく逸らした。
『終わった?』
「ん。一応」
『あと一つ終わらせちゃう?それとも明日にする?』
「いや、まだ時間あるし、出来る所まで……」
今日1日勉強で潰れそう。いつもなら暗い思い出として記憶される1日は、キラキラと輝いていた。いずれ終わりが来ると知っていても、この瞬間だけは誰にも邪魔をされたくない。
「──そろそろ休憩にしたら?」
おばあちゃんが飲み物と一緒に入ってきた。
机の物をずらすと、そっと麦茶の入ったコップを置いた。
「勉強もほどほどにね?」
それだけ残し、笑顔で出ていった。
昨日柚樹と別れた後、「明日行くから」と突然告げられ、付け足すように「勉強」と呟いた。
今朝十字路まで迎えに行き、邪魔にならぬよう居間の隣の部屋にテーブルを並べ、静かな勉強会が開かれた。
解らない問題は教え合い、時々休憩を挟みながら勉強は進んだ。
『よし!』
最後の問題を解き終えて顔を上げると、仁と目が合い、どちらともなく逸らした。
『終わった?』
「ん。一応」
『あと一つ終わらせちゃう?それとも明日にする?』
「いや、まだ時間あるし、出来る所まで……」
今日1日勉強で潰れそう。いつもなら暗い思い出として記憶される1日は、キラキラと輝いていた。いずれ終わりが来ると知っていても、この瞬間だけは誰にも邪魔をされたくない。
「──そろそろ休憩にしたら?」
おばあちゃんが飲み物と一緒に入ってきた。
机の物をずらすと、そっと麦茶の入ったコップを置いた。
「勉強もほどほどにね?」
それだけ残し、笑顔で出ていった。


